開放感があり広がりのある空間を求める建主の要望、南東に接道する角敷地の形状、
雑多な街並みと空に広がる景色をどう活かすかを考慮して設計しました。

広げた傘のような屋根の下に、目線より少し高い位置に窓をぐるりと配置することで、
光と風をたっぷり室内に取り込みながら、適度な距離で街とつながる空間に。

床から1.6mの高さに設定された壁は、道路、周辺建物からの視線を遮り、立ったときには空に視線が開かれる高さになり、
ソファに座ったときは、より親密感がある空間に感じられるようになります。
奥に見える屋外テラスを囲う壁は腰までの高さとし、外への広がりを持たせました。

 
階段、浴室などの閉ざされがちな場所にも、自然光や風を取り入れられるよう考えました。
ふとした時、目線の先にある木の色目に心がほっと和みます。

兵庫県で採れる山東真砂土を原料とした土塗り壁は職人の手によって丁寧に作り上げられました。

土地の材料により作られた外壁と、それをおおらかに包み込むように被せられた木の屋根が、
この家で暮らす住人のみならず、街に向かっても暖かさを放つような住宅が完成しました。