ボード施工が始まると、現場の雰囲気が少し変わります。

下地や配線だけだった空間に輪郭が生まれ、部屋の大きさや距離感が見え始める。

この段階は、設計時に考えてきたことを現場で一つずつ確かめ、

完成までズレが生じていないかを確認するタイミングでもあります。

ボード施工に入る前後で、まず確認したのは壁内の断熱と防音の構成でした。

今回の住戸では、断熱材にフェノールフォーム保温板、防音についてはMGボードを採用しています。

どちらも断熱性能がありますが、このプロジェクトでの役割は明確に異なります。

現場では一度、その役割が少し曖昧になりかけたため、

設計時の考え方をあらためて共有し、仕様を整理し直しました。

断熱と防音は、同じ「壁の中の性能」として並べて語られることが多いのですが、考え方はまったく異なります。

断熱は熱の移動を抑えることが目的で、材料の性能や厚みがそのまま効いてきます。

一方、防音は音の伝わり方をどう減衰させるかという話で、材料の性質や組み合わせが重要になります。

今回採用しているフェノールフォーム保温板は断熱性能に優れた材料ですが、防音を目的としたものではありません。

そのため、防音については吸音性能をもつMGボードを組み合わせることで、隣室やトイレ、パイプスペースからの騒音に配慮しています。

現場を確認している中で、断熱材と防音材の役割が、

施工上ひとつにまとめて捉えられそうになる場面がありました。

フェノールフォーム保温板は性能も価格も高いため、

防音についても同程度の効果があるように見えてしまうことがあります。

そこで、断熱と防音は別の考え方で整理していること、

今回の計画では役割を分けて考えていることをあらためて共有させていただきました。

写真は防音材として充填したMGボード

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