突板合板/リノベーション/東京都文京区

このプロジェクトでは、内装仕上げの一部に突板合板貼りを採用しています。
突板合板とは、天然木を0.2〜0.6mm程度に薄くスライスした突板を、合板などの基材に貼り合わせた材料です。
見た目は無垢材に近い質感を持ちながら、反りや割れが出にくく、寸法安定性に優れているのが特徴です。
いわば、「本物の木」と「工業製品」の中間にある素材と言えます。

木の仕上げを考えると、無垢材や突板、木目プリント系など様々な選択肢があります。
その中で突板合板は、
・天然木の質感
・反りや収縮といった不具合の少なさ
・コストとのバランス
・施工精度への過度な依存を避けられること
これらを総合的に考えると、非常に扱いやすい内装材だと考えています。
突板の面白さは、単に“木を使っている”ことではなく、
「木目をどう構成するか」まで設計できる点にあります。
・柾目で揃えるのか
・板目をランダムにするのか
・ブックマッチにするのか
・目地を通すのか、あえて切るのか
同じ樹種でも、貼り方によって空間の印象は大きく変わります。
無垢材が「素材の存在感」で空間をつくるのに対して、
突板は「面の構成」によって空間をつくる材料だと捉えています。

今回は、躯体コンクリートとの対比を意識し、ナラ柾目を採用しました。
強い主張を持たない均質な木目が、空間全体の基調を静かに整えます。
一方で、突板は“貼り物”である以上、設計と施工の精度がそのまま表面に現れます。
・下地の不陸
・目地の通り
・木目の連続性
・小口の納まり
こうした要素の精度が揃わないと、素材の質感以前に違和感が生じてしまいます。

今回の計画では、小口に15角の無垢材を入れ、目地を3mmとすることで、
面に対してわずかな厚みと陰影を与えています。
また、目地の位置については、建具や空間全体の割付と整合するよう、
図面段階であらかじめ検討しています。
現場では、目地の通りや浮きの有無などを入念に確認し、
不具合が見られる箇所については都度手直しを行いました。
突板合板は、素材としてはニュートラルですが、
その分、設計と施工の精度がそのまま空間の質として現れます。
扱い方次第で、空間の印象を大きく左右する材料だと考えています。

大判のままではエレベーターで搬入できないため、
職人さんがマンションの一角をお借りして、現場で加工を行っていました。
設計図面の上では見えない部分ですが、
こうした手間と工夫によって空間が成立しています。
現場ならではの苦労に、改めて感謝しています。